おわりのないたのしさ
子供の頃田舎のおばあちゃんの家に行って和室と縁側と延々とぐるぐると鬼ごっこした経験があります。
それは私にとって昔の記憶や経験でしかないのですが、自分が面白い家だなと感じる家にはある共通点があります。
間取りを玄関から指でなぞっていって家の中を大きく一回りできる間取りだと、実際に出来上がった家に行ってみてもとても楽しいという事です。
実際に自分がプランを作る時も、この回遊動線というものをうまく取り込みながらプランが出来上がると、えもいわれぬ満足感に包まれます。
とても単純でなんてことはないのですが、やはりこれがあるかどうかで随分印象が違ってきます。
勿論これは、感覚だけの問題ではなく実際の生活でも多々役立ってくるものです。
玄関からメインの動線と裏動線と二本の通路がある事によって、収納や家事が随分と便利になったり、
家族間や来客時のプライバシーを動線によって解決できることもあります。
掃除機をかけても行ったり帰ったりの繰り返しではなく、スタートして一周しながら帰って来て終了のほうがやはり気持ちがいい様な気もします。
夫婦喧嘩で奥さんに追いかけられても延々と逃げ切れるかもしれません。(そんなことは無いと思いますが…)
チビ黒サンボのトラが丸くならずに棒状につながっても全く面白いと感じないように、ループする、ループできる形状には不思議な魅力があるように感じます。
色々理由はあるのですが、結局は単純に昔の鬼ごっこの楽しさを思い出しながら今日もプランに取り組んでいます。
最初は小さな回遊動線から始まり、だんだん輪が大きくなり、最近は立体的回遊に取り組みつつあります。
住宅を体と捉えた時に、住人は血液のように勝手に想像しているのかもしれません。